むち打ち損傷とは


多くの方が「むち打ち」という言葉を聞いたことがあるかと思います。

交通事故によるけがの代表的な例としても有名です。

この「むち打ち」は第1次世界大戦時に戦闘機をカタパルト(飛行機を加速して発射する装置)

から発射する際に加わる加速度がパイロットの頸部(けいぶ 首のこと)に加わり、

頸部の過伸展、過屈曲により、むちがしなるような動きをすることによる頸部の損傷が

最初の発見だったとされています。

「むち打ち損傷」とは診断名ではなく、受傷の仕方を表す言葉なのです。


交通事故によるむち打ち損傷の問題


交通事故のけがの代名詞とも言える「むち打ち損傷」ですが、大きな問題があります。

それは「他覚的所見」が無いということです。骨折などはレントゲン等により一目瞭然

なのですが、「むち打ち損傷」による症状はレントゲンやMRI等に写らない場合が多く、

被害者の「自覚症状」のみであり客観的な判断が難しい(できない)ことが多いのです。


後遺障害の等級では12級または14級に該当する場合が多いのですが、

・12級 13号 「局部に頑固な神経症状を残すもの」

・14級 9号  「局部に神経症状を残すもの」

参考 【後遺障害別等級表・労働能力喪失率】


この12級に認定されるか14級に認定されるかの違いは明確にはされていませんが、

かつては以下のような基準がありました。

・12級 「医学的に証明することができる」

・14級 「医学的に認めることができる」

の違いと言われています。(これのみで判断される訳ではありません)

現在では14級の場合、

「障害の可能性が医学的に説明可能なもの」

「医学的には証明できなくとも、自覚症状が単なる故意の誇張でないと医学的に推定されるもの」

と考えられているようです。


この後遺障害等級認定は原則書面審査となります。

つまり、被害者がいくらその症状を主張しても、医学的に説明ができなければ

後遺障害等級は非該当とされてしまいます。

そのため重大な後遺症に苦しみながらもその苦しみが理解されず、適正な賠償額を得られない

被害者が多くいます。


また、事故直後から症状が現れることもありますが、事故後数週間から数ヶ月後に症状が

現れることもあり、衝撃が頸部への影響が疑われるほど軽微なものであっても

症状が現れたりと、現在の医学・科学でも解明されていないことも多いため、

事故との因果関係の立証が困難な場合があり、正当な賠償を得られない結果につながることも

あります。



むち打ち損傷の分類


むち打ち損傷の分類です。

様々な分類方法がありますが、「土屋の分類」と言われる代表的な分類を紹介します。


 ・頸椎捻挫型(けいついねんざがた)

 ・根症状型

 ・バレー・リュー症状型

 ・根症状+バレー・リュー症状型

 ・脊髄症状型(せきずいしょうじょうがた)



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